必死すぎるネコ 一心不乱篇

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猫写真家・沖昌之による人気シリーズの第3弾。街中や旅先で出会った外猫たちが、一心不乱に何かに取り組むコミカルで愛らしい姿を収めた写真集。逆さまになったり、落ち葉と戦ったりする必死の瞬間が、読者の想像を刺激。キャプションなしで自由に楽しめる。シリーズ累計8万部超のベストセラー。

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体裁

  • 形式:単行本(ソフトカバー)
  • サイズ:160×160mm(B5変型判)
  • ページ数:96ページ
  • 仕様:オールカラー
  • 出版社:辰巳出版
  • 発行日:2022年2月2日
  • ISBN:9784777828784
  • 定価:1430円(税込)

もくじ

本書は写真集のため、伝統的な章立てや詳細な目次はありません。主に猫の写真が中心で構成されており、冒頭にタイトルページ、続いて一心不乱な猫たちの写真が連続して配置されています。最後にあとがきが収録されており、著者の撮影に対する思いが記されています。全体として、写真の流れで楽しむ形式です。

解説

本書『必死すぎるネコ ~ 一心不乱篇』は、猫写真家として知られる沖昌之氏による、猫の愛らしい姿を捉えた写真集のシリーズ第3弾です。このシリーズは、2017年に初作『必死すぎるネコ』が発売されて以来、猫好きの間で大きな人気を博しており、第2弾『必死すぎるネコ 前後不覚篇』(2019年)と合わせて累計8万部を超えるベストセラーとなっています。最新作である本書は、2022年2月2日という「スーパー猫の日」に合わせて発行され、猫の必死な表情や行動をテーマに、読む人をほっこりさせる内容が満載です。

著者の沖昌之氏は、1978年に神戸で生まれました。元々は家電の営業マンとして働いていましたが、アパレルのカメラマン兼販売員に転身。その後、運命的な出会いがありました。それは、初恋のネコと呼ぶ「ぶさにゃん先輩。」との出会いです。この猫に魅了されたことがきっかけで、2015年に猫写真家として独立しました。以降、猫専門誌『猫びより』(辰巳出版)で「必死すぎるネコ」の連載を担当するなど、猫を専門に撮影する活動を続けています。他の著書には、『ぶさにゃん』(新潮社)、『残念すぎるネコ』(大和書房)、『明日はきっとうまくいく』(朝日新聞出版)、『にゃんこ相撲』(大空出版)などがあり、猫のさまざまな表情や日常をテーマにした作品を数多く発表しています。沖氏のスタイルは、インドア派を自認しつつも、世界中の外猫を撮影するために旅を重ね、朝から深夜まで精力的に活動する点にあります。食事時間を惜しんで現像処理をするほどの情熱を注いでおり、「世界中のらぶりーな おそとにゃんこさんを撮り尽くしたい」という言葉が彼のモットーを表しています。

本書の最大の魅力は、猫たちが一心不乱に何かに集中する姿を、コミカルで心温まる写真で表現している点です。写真集のコンセプトは、街中や旅先で出会った外猫(地域猫や野良猫)の「必死すぎる」瞬間を切り取ること。たとえば、勢い余って逆さまになってしまった猫、落ち葉と激しくバトルする猫、絶壁をクライミングする猫、忍者のように水面を駆け抜ける猫などが登場します。これらの写真は、猫の驚異的な身体能力や真剣な表情を捉えており、見る人を思わず笑顔にさせます。また、目をまん丸くして落ち葉をつかもうとする猫や、驚いた形相で物陰から何かを覗く猫の姿は、猫の好奇心や集中力を感じさせます。沖氏は、これらの瞬間を「奇跡」と呼び、撮影できたことに神様への感謝をあとがきで述べています。

具体的な撮影エピソードをいくつかご紹介します。たとえば、香川県の佐柳島で撮影された「くぼみにはまった猫」の写真。この猫は、意外な場所のくぼみに体を入れて、楽しそうに尾をペロペロなめている変わったポーズを取っています。沖氏はこの場所を知らず、撮影がうまくいかずテンションが落ちていたタイミングで偶然出会ったそうです。猫は撮影クルーがいる中でも集中力を切らさず、さまざまな行動をしてくれたため、「この子には頭が上がらない」と語っています。もう一つの例は、台湾の猫村「ホウトン」で撮られた「ベビーカーのバッグをのぞく猫」。観光客が多くごった返す中で、人に構われていない猫を探していた沖氏が、たまたまこのシーンに遭遇。猫がバッグをのぞく絶妙なタイミングでシャッターを切り、「せっかく海外に来たし、何とか撮りたい」という思いが叶った瞬間でした。これらのエピソードからわかるように、沖氏の撮影は計画通りではなく、猫の自然な行動を待つ忍耐と運が鍵となっています。

本書のもう一つの特徴は、写真のみで構成され、キャプションや解説文を一切付けていない点です。これにより、読者は猫の表情や行動から自由に物語を想像できます。たとえば、「どうしてそんなに必死なの?」と突っ込みたくなるようなシーンが次々と登場し、猫の内面が伝わってくるのです。編集を担当した辰巳出版の小林裕子氏は、沖氏の写真の魅力について「猫の内面が映し出されている」と分析します。わかりやすい心情、例えば「それが好きなんだな」「かまってほしそう」から、不可解な状況「いったいどういう思考回路でそうなったの?」まで、写真から猫の「気持ち」がいとおしく感じられるそうです。このアプローチは、シリーズ全体の共通点で、読者が積極的に参加する楽しさを生み出しています。

沖氏の撮影姿勢も、本書の価値を高めています。彼は外猫を撮影する際、地域のボランティアさんや住民と積極的に交流します。猫のコンディションを共有し、「あの子は食事をきちんと食べていたよ」などの情報を交換することで、猫を見守るネットワークを築いています。また、猫が寝ている時やボーッとしている時は撮影を控え、「その子らしさが見える瞬間」を優先。猫の状態を尊重する倫理観が、写真の自然さと温かみを生んでいます。この姿勢は、猫写真家としてのプロフェッショナリズムを示しており、シリーズの人気の秘密の一つです。

シリーズの文脈で本書を見ると、第1弾は猫の基本的な「必死さ」をテーマに、第2弾『前後不覚篇』ではさらにダイナミックなジャンプや格闘シーンを強調。そして本作『一心不乱篇』では、集中力の極みのような一瞬を深掘りしています。たとえば、第2弾の例として、渾身の猫パンチをガードされるシーンや、枝に絡まる紐と格闘する猫(編み物のように見えるポーズ)が挙げられます。これらを踏まえ、本書はシリーズの集大成として、2022年までのベストショットをまとめています。推薦者として、猫好きの藤あや子さんが「猫は我が師匠!」とコメントを寄せ、他にも糸井重里さん、黒柳徹子さん、加藤一二三さん、かまいたちの山内健司さんらが絶賛。こうした著名人の支持が、幅広い層へのアピールを強めています。

本書の楽しみ方は、単に写真を見るだけでなく、猫の心理を想像することにあります。たとえば、大ジャンプで仲間に覆いかぶさろうとする猫の写真では、「何を狙っているの?」とワクワクします。ネットに張り付く猫の姿は、忍者さながらの集中力を感じさせます。これらの写真は、国内の街中だけでなく、台湾や香港などの海外の猫も含まれており、多様な文化背景での猫の普遍的な可愛らしさを伝えています。沖氏自身、撮影を通じて「猫の最高にかわいい瞬間に立ち会えるのは奇跡」と実感しており、それが読者に伝わる温かさが魅力です。

全体として、この写真集は猫の必死さをユーモアたっぷりに描きながら、猫と人間の絆を優しく描いています。忙しい日常で心が疲れた時にページをめくれば、猫たちの純粋な集中力が癒しを与えてくれるでしょう。猫好きの方はもちろん、動物写真に興味がある方にもおすすめです。シリーズファンなら、過去作との比較を楽しめ、新規の方には猫写真の入門書としてぴったりです。沖昌之氏の情熱が詰まった一冊で、猫の無限の魅力を再発見できるはずです。

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プロフィール
レイレイ

中国雲南省出身のレイレイです。来日して30年が過ぎています。2023年10月15日に自宅近くでミミを拾ったのが飼育の始まり。今は5人で賑やかに暮らしています。

2024-02-25開設から615日目です。

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