名画のなかの猫

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誇り高く、自由に生きる猫の姿は、古今東西のアーティストたちを魅了してきました。謎めいていてクール、しかしたまらなく愛らしい猫たちの絵をコレクションした一冊『名画のなかの猫』が新装版で登場。ウォーホル、ゴヤ、ホックニー、国芳、ダ・ヴィンチ、クレーなどの名画に登場する猫たちを、文学者の献辞とともに楽しめます。

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体裁

  • 単行本(ソフトカバー)
  • ページ数: 160ページ
  • 寸法: 19 x 15 x 1.8 cm
  • 言語: 日本語
  • 出版社: エクスナレッジ
  • 発売日: 2023/11/12
  • ISBN-10: 4767832160
  • ISBN-13: 978-4767832166
  • 原題: The Book of the Cat: Cats in Art (2017年刊行の新装版)
  • 印刷: 高品質の重厚なマット紙を使用

もくじ

この本は伝統的な章立ての目次を持たず、猫を題材とした芸術作品のコレクションとして構成されています。主にアーティストの作品が順に紹介され、短い解説と文学者の猫に関する献辞や名言が散りばめられています。作品数は約115点で、以下のようなアーティストと代表的な作品が含まれています(一部抜粋):

  • Dame Elizabeth Blackadder: ‘Cat on a Silk Cushion’, ‘Amalia Sleeping’
  • Midori Yamada: ‘Hiyodori (Brown-eared Bubul)’
  • Christopher Nevinson: ‘Le Chat’
  • Vania Zouravliov: ‘Black Cat’
  • Santiago Ydáñez: ‘Untitled’
  • Théophile Steinlen: 猫のイラストレーション
  • Andy Warhol: 猫のポートレート
  • Édouard Manet: 猫を含む作品
  • Théodore Géricault: 猫のスケッチ
  • Francisco Goya: 猫の寓話的な表現
  • David Hockney: 現代的な猫の描写
  • 歌川国芳: 猫の浮世絵
  • Leonardo da Vinci: 猫の解剖学的研究
  • Paul Klee: 抽象的な猫のイメージ
  • Henri Matisse: 猫のシルエット
  • Henri de Toulouse-Lautrec: 猫のポスター
  • Balthus: ‘The King of Cats’
  • Tsuguharu Foujita: 猫の繊細な絵

作品は16世紀から現代までをカバーし、有名なものから珍しいものまで多岐にわたります。全体として、猫の美しさ、優雅さ、独立性、神秘性をテーマに視覚的に楽しめるレイアウトです。

解説

『新装版 名画のなかの猫』は、猫を愛する人々にとって必携の一冊です。この本は、単なる猫のイラスト集ではなく、芸術史を通じて猫がどのように描かれてきたかを探求するビジュアルブックです。原著はイギリスのデザイナーであるアンガス・ハイランドと、グラフィックアーツのジャーナリストであるキャロライン・ロバーツによるもので、2017年にLaurence King Publishingから出版された『The Book of the Cat: Cats in Art』を基にしています。日本版は2018年に初版が発行されましたが、絶版となった後、2023年に新装版として復活しました。翻訳は喜多直子氏が担当し、日本語で読みやすくまとめられています。

本書の魅力は、何と言っても古今東西の著名アーティストによる猫の作品を約115点も収録している点にあります。猫は古くから人間の生活に寄り添い、芸術のモチーフとして繰り返し登場してきました。この本では、猫の誇り高く自由な姿がアーティストたちをどのように魅了したかを、視覚的に追体験できます。例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチの解剖学的なスケッチでは、猫の身体構造を科学的に捉えた精密さが際立ち、ルネサンス期の知的好奇心を反映しています。一方、パウル・クレーの抽象画では、猫のシルエットが幻想的な色使いで表現され、20世紀のモダンアートにおける猫の象徴性を示しています。

さらに、フランシスコ・ゴヤの作品では、猫が寓話や風刺の要素として描かれ、社会批判の道具として機能しているのが興味深いです。ゴヤの暗いトーンと猫の鋭い視線が、スペインのロマン主義を体現しています。現代アートでは、アンディ・ウォーホルのポップアート風の猫ポートレートが登場し、消費文化の中で猫がアイコン化される様子をユーモラスに描いています。デイビッド・ホックニーの鮮やかな色彩の猫は、日常の親しみやすさを強調し、視覚的な喜びを提供します。

日本からは歌川国芳の浮世絵が代表的で、猫を擬人化したユーモラスな表現が満載です。国芳の猫たちは人間のような仕草をし、江戸時代の庶民文化を反映しています。また、藤田嗣治(レオナール・フジタ)の繊細な線描による猫は、フランスと日本の文化融合を感じさせ、猫の優雅さを詩的に捉えています。バルテュスの『猫たちの王』は、猫を王様のように描き、神秘的で威厳あるイメージを強調しています。これらの作品は、単に可愛らしいだけでなく、猫の多面的な性格—クールで謎めいた側面と、愛らしい親しみやすさ—をバランスよく紹介しています。

本書の構成は、作品ごとに短い解説が付され、芸術家の簡単なバイオグラフィーと猫との関係が記されています。例えば、ステンレンの猫イラストは、19世紀フランスのポスターアートとして知られ、猫の日常的な可愛らしさを街角の風景に溶け込ませています。マネットの作品では、猫が人間のポートレートの脇役として登場し、印象派の光と影の表現が猫の毛並みを生き生きと描き出しています。これらの解説は簡潔ですが、作品の背景を理解するのに十分で、芸術初心者でも楽しめます。

加えて、文学者や著名人の猫に関する献辞や名言が散りばめられており、視覚的な楽しみを文学的に補完しています。例えば、ヘミングウェイの「猫は絶対的な感情的な誠実さを持っている」という言葉や、チャールズ・ディケンズの猫愛のエピソードが、作品の合間に挿入され、猫の文化的意義を深めています。これにより、本は単なる画集ではなく、猫の芸術的・文学的文脈を統合した総合的な一冊となっています。

レビューや感想から見ると、読者たちはこの本のビジュアルの豊富さに満足しています。一人の読者は「猫好きにはたまらない。バルテュスの『猫たちの王』や藤田嗣治の猫、歌川国芳の猫が特に印象的」と述べています。もう一人は「解説は少ないが、どれもかわいい個性的な猫たちの絵ばかり。手元に置いておきたい」と評価。別の感想では「期待以上に面白かった。猫の絵画も猫愛の名言も、猫好きとして満足した」とあり、猫の多様な表現が魅力だと指摘されています。また、「色々な国の画家の猫の絵が集まっており、昔から猫が愛されていたことがよくわかる」との声もあり、歴史的な広がりを高く買っています。

体裁面では、160ページのソフトカバーで、手に取りやすいサイズ(19 x 15 x 1.8 cm)が特徴です。高品質のマット紙を使用し、フルカラーのイラストが鮮やかに印刷されています。新装版では表紙デザインが刷新され、より現代的な印象を与えています。プレゼントとしてぴったりで、猫を飼っている人やアート好きへのギフトに最適です。ただし、一部のレビューでは「作家と作品名の一覧表があればより親切だった」との指摘もあり、索引の追加を望む声があります。

全体として、この本は猫の芸術史をコンパクトにまとめた入門書として機能します。16世紀の古典から現代のコンテンポラリーアートまでを網羅し、猫の美学を多角的に探求。猫の独立性や優雅さが、芸術家たちのインスピレーション源となった理由を、視覚とテキストで明らかにします。猫ブームの今、芸術を通じて猫の魅力を再発見したい人にオススメです。読むたびに新しい発見があり、何度もページをめくりたくなるでしょう。

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