羊毛フェルトを使って額縁に納められた猫の肖像「わくねこ」を作る方法を紹介する本。フレームに収まる猫の作品で、自分の猫の特徴を捉えたオリジナルを作成可能。著者Sachiはイラストレーターで、2015年に羊毛フェルトに出会い「枠猫」を生み出した。作品はリアルで立体感があり、亡き愛猫の再現も。猫好き向けハンドメイドガイド。

体裁
- 定価:1,650円(本体1,500円+税)
- 発売日:2022年07月01日
- 判型:B5判
- ページ数:112ページ
- ISBN:9784046054180
もくじ
- 1 羊毛フェルトの基本
- 2 わくねこの作り方 キホン編 白猫の作り方
- 3 わくねこの作り方 応用編(キジトラ子猫、長毛ハチワレ、サバトラ、長毛三毛猫)
解説
この本は、羊毛フェルトを活用した猫の肖像作品「わくねこ」の制作を、初心者から上級者まで対象に詳しく解説した一冊です。全体の構成は、まず基礎から学び、次に基本的な猫の作り方、そして応用的なバリエーションへと進む流れで、ステップバイステップで実践的な指導を提供します。ページ数は112ページとコンパクトながら、オールカラーで制作過程を細かく紹介しており、羊毛フェルトの針を使ってフェルトを刺す基本作業を中心に、猫のリアルな表現技法を網羅しています。
第1章「羊毛フェルトの基本」
初心者が挑戦しやすいよう、必要な道具の紹介と植毛テクニックの基礎を詳述します。道具としては、羊毛フェルト、専用の針、額縁などの基本アイテムが挙げられ、これらを使ってフェルトをプチプチと刺す作業のコツを説明。最初は平面の猫作品から始め、立体感を出すためのフェルトの重ね方や密度の調整方法を学べます。この章は本の基盤を固める部分で、羊毛フェルトの特性(柔軟性や毛並みの表現力)を活かした基本操作を、図解や写真を交えて丁寧に解説。読者が道具を揃え、すぐに手を動かせるよう配慮されています。例えば、フェルトの色選びや針の太さによる仕上がりの違い、作業時の安全対策なども触れられ、挫折しにくい内容です。これにより、羊毛フェルト未経験者でも「わくねこ」の世界にスムーズに入門できます。
第2章「わくねこの作り方 キホン編 白猫の作り方」
基本形として白猫の制作プロセスを詳細にガイドします。ここでは、額縁に納められた猫の肖像を立体的に作る核心的な技法が展開されます。まず、猫の頭部や胴体のベースをフェルトで形成し、額縁の枠内に収まるようサイズを調整する方法からスタート。目の作り方は特に重要で、黒いフェルトを細かく刺して瞳の輝きを表現し、瞬きのニュアンスを加えるテクニックを解説。ひげの作り方では、実際の猫のひげを参考に細いフェルトを一本一本挿入・固定する工程を、拡大図で示します。模様の入れ方は白猫の場合シンプルですが、毛並みの表現に重点を置き、針の刺し方でふわふわした質感や光の反射を再現。全体の組み立てでは、猫の表情をイキイキとさせるために、耳の角度や口元の微調整をステップごとに説明します。この章の白猫は、基本編としてシンプルな毛色を選んでいるため、読者が全体像を把握しやすく、完成した作品はまるで本物の猫が額縁から覗いているようなリアリティを生み出します。レビューでも指摘されるように、最初はピョン吉のような平面猫から始まり、努力次第で立体感が増す過程が魅力です。
第3章「わくねこの作り方 応用編(キジトラ子猫、長毛ハチワレ、サバトラ、長毛三毛猫)」
上級者向けの高難易度テクニックを多数掲載し、応用力を養う内容です。ここでは、異なる毛色と毛質の猫を4種類取り上げ、それぞれの特徴を活かした作り方を詳解。キジトラ子猫では、トラ模様の入れ方を重点的に、フェルトの茶色と黒を混ぜてグラデーションを刺す技法を説明。子猫らしい丸みのあるフォルムを出すために、ベースの膨らませ方や尻尾の曲げ具合を調整します。長毛ハチワレは、ハチワレ模様の白黒コントラストを精密に再現し、長毛のふさふさ感を表現するため、フェルトの層を厚く重ねる方法を指南。サバトラでは、縞模様の細かいラインを針で描くように刺す高度なテクニックが登場し、毛並みの流れを自然に演出。長毛三毛猫は、三毛の複雑な色配分(黒・白・茶)を扱い、長毛特有のボリュームを出すために、フェルトの梳き出しやカール付けを詳述します。
各作品で共通するのは、個々の猫の特徴(例: 模様の配置、毛の長さ、表情のバリエーション)を捉えるポイントで、読者の愛猫をモデルにしたオリジナル作成を促します。高難易度部分では、枠から少し飛び出した立体性を実現する仕掛けや、亡き猫の再現に適したリアリティの追求が強調され、オーダー製作のヒントも含まれるようです。全体を通じて、作品の癒やし効果(部屋に置くだけでまなざしに癒される)を強調し、ワクワクする「わくねこ」の魅力を伝えています。
まとめ
本の内容は、羊毛フェルトの細かな針仕事を通じて、猫の肖像を額縁に収める独自のスタイルを確立。レビューからわかるように、精緻な作りで本物の猫と見間違うほどのクオリティを目指せ、Twitterなどで人気の作家の技法を自宅で再現可能。初心者は基礎から、上級者は応用で挑戦でき、総じて猫愛好家に実践的な価値を提供します。



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