本書は猫写真家・沖昌之氏によるユーモラスな猫写真集です。5年間にわたる撮影で蓄積された22万枚の写真の中から、選りすぐりの約100点を収録。猫とは思えない人間味あふれる「残念」な瞬間を捉えています。例えば、「風呂にはいるネコ」「上司に怒られてるネコ」「祈りを捧げるネコ」など、抱腹絶倒のシーンが満載。インスタグラムで人気の写真や初公開の作品も含み、猫の数だけ残念がある世界を楽しく描きます。ネコ好き必見の一冊。

体裁
- 著者: 沖昌之
- 出版社: 大和書房
- 出版年月日: 2018年9月21日
- ISBN: 9784479393016
- 判型: A5変型
- ページ数: 96ページ(オールカラー)
- 定価: 1,320円(本体1,200円+税)
- 形式: 単行本(ソフトカバー)
- ジャンル: アート・写真集、猫関連
もくじ
本書は写真集のため、伝統的な章立てや詳細な目次は設けられていませんが、写真のテーマやタイトルに基づいた内容が収録されています。以下は代表的な写真のテーマ例です。これらのユーモラスな瞬間が散りばめられ、全体として猫の「残念」な姿を楽しむ構成となっています。
- 新巻鮭
- 祈り
- ヒソヒソ
- 風呂にはいるネコ
- 上司に怒られてるネコ
- 祈りを捧げるネコ
- ありえないネコ(初公開作品)
- インスタ殿堂入り写真
- 兄弟猫の歩く姿
- 喧嘩の瞬間
- 路上で寝転がる姿
- 壁にもたれて眠る姿
- 悔し涙をぬぐうような姿(表紙)
解説
『残念すぎるネコ』は、猫写真家・沖昌之氏の独特な視点が光る一冊です。沖氏は1978年神戸生まれで、家電営業マンからアパレルカメラマンへ転身し、2015年に独立。出会った猫「ぶさにゃん先輩」の影響で猫写真に没頭し、「必死すぎるネコ」「ネコザイル」「無重力猫」などのシリーズで知られています。インスタグラムのフォロワーは9万人を超え、糸井重里氏からも絶賛されています。本書は前作『必死すぎるネコ』に続く作品で、猫の「カワイイ」ではなく「残念」な側面に焦点を当てています。
本書の魅力は、猫の姿に人間臭さを投影した点にあります。沖氏が5年間で撮影した22万枚の写真から、装丁家・鈴木成一氏(自身も猫飼い)が選定とアートディレクションを担当。約90枚の写真が収められ、島の猫や東京下町の地域猫を対象に、自然な振る舞いを捉えています。使用レンズは24ミリから105ミリで、至近距離撮影も多く、猫たちがカメラに慣れた様子がうかがえます。例えば、路上で大股を開いて横になる猫、他の猫の逢瀬を覗き見る猫、顔をなぐられる瞬間、壁にもたれて眠る猫など、これらの姿は酔っぱらったサラリーマンや日常のオジサンみたいで、笑いを誘います。表紙の猫は悔し涙を腕でぬぐうようなポーズで、帯には猫マンガ『俺、つしま』の主人公のセリフが添えられ、ユーモアを強調しています。
企画の背景として、当初は「残念すぎる人」というタイトル案だったそうです。大和書房の編集者・長谷川恵子氏によると、沖氏の写真が人間的すぎたため、人間テーマを考えていましたが、猫の写真を見ていくうちに、猫たちにも感情やロジックがあり、一生懸命に試みる姿の失敗が愛おしく感じられたとのこと。結果、「一生懸命な者への眼差し」がテーマとなり、可愛さだけではない新たな猫表現が生まれました。沖氏は撮影で猫島に3~4日滞在し、猫に存在を慣れさせて自然な瞬間を激写。思い入れのある写真として、兄弟4匹の猫が歩くシーンを挙げ、中学時代の自分を重ねています。前3匹が並んで歩き、後ろの1匹が距離を置く姿に、ヤンキーグループとのモヤモヤした切なさを投影。沖氏は「時にへたれ、時に失敗する猫は僕そのもの。赤裸々に見せちゃいました」と語り、自身の体験が猫を通じて表現されている点が本書の深みです。
読者レビューからも、本書の面白さがわかります。例えば、変顔の瞬間、変な態勢、喧嘩シーンが面白いと評価され、必死に生きる猫の逞しさが愛しいとの声。残念な姿が幅広く、わかりやすいものから理解し難いものまで揃い、眺めるだけで笑顔になれます。猫写真界の異端児・沖氏の激写系スタイルは、他に追随を許さず、SNSで話題に。ブログ「野良猫ちゃんねる。」や連載も人気です。本書はA5変型、96ページのコンパクトさで、日常の癒しやギフトに最適。猫のリアルな魅力に触れ、自身の「残念」さを振り返るきっかけになるでしょう。総じて、ユーモアと愛情あふれる写真集としておすすめです。

 
  
  
  
  

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