ここに紹介するのは、1988年から1991年にかけてフジテレビで放送された人気シチュエーション・コメディ「やっぱり猫が好き」のDVD-BOXです。もたいまさこ、室井滋、小林聡美が演じる恩田三姉妹の日常を描いた作品で、放送順に再編成された全話が収録されています。アドリブ満載のユーモアが魅力で、ファン待望の商品化です。
体裁

このDVD-BOXは、形式としてDVDを採用しており、コンパクトで扱いやすいボックスセットとなっています。外装はシンプルながらも作品のイメージを反映したデザインで、三姉妹のイラストや猫のモチーフが施され、ファン心をくすぐる工夫が見られます。収録メディアは複数枚のDVDディスクからなり、各ディスクは放送されたエピソードを順番に収めています。パッケージ全体の体裁は、家庭用エンターテイメントとして最適化されており、棚に収納しやすいサイズ感です。また、映像は当時の放送フォーマットを尊重し、ステレオ音声で再現されています。特典として、新作のオリジナルストーリーが分割収録されており、視聴者をさらに楽しませる配慮がなされています。この体裁は、長期にわたるシリーズを一括して楽しむためのもので、視聴者の利便性を重視した作りとなっています。全体として、クラシックなドラマの魅力を現代のメディアで蘇らせる、丁寧な商品設計と言えるでしょう。
構成
DVD-BOXの構成は、放送された順番に沿って再編成されており、視聴者が当時の流れを追体験できるように工夫されています。全19巻相当のエピソードが6枚のディスクにまとめられ、第1巻から第6巻までがボックスに収められています。各ディスクには、複数のエピソードが収録されており、例えば第1巻は初期の深夜枠エピソードを中心に、第6巻は後期のゴールデンタイム編をカバーしています。特典映像として、新作の短編ストーリー「箱根にカッパが出た!」が19話に分割して各巻に分散収録されており、ボックス全体で一つの連続した物語を楽しめます。また、メニュー画面はシンプルで、エピソード選択が容易です。構成のポイントとして、基本的に1話完結型のエピソードが中心ですが、一部スペシャル版や連続する話も含まれており、シリーズの多様な側面を網羅しています。このような構成により、初めての視聴者もファンも満足できるバランスが取られています。全体の収録時間は長大ですが、ディスクごとのテーマ分けが視聴のしやすさを高めています。
あらすじ
物語は、恩田家の三姉妹が暮らすマンションの一室を舞台に展開します。長女のかや乃(もたいまさこ)はしっかり者ですが、時折壊れるキャラクターで、株取引や夜の仕事など謎めいた職業を持ちます。次女のレイ子(室井滋)はトラブルメーカーで、売れない女優としてバイトを転々とし、ヘビースモーカーでワガママな一面が目立ちます。三女のきみえ(小林聡美)はサバサバした性格で、ADとして働く中、奇妙なものを拾ってくる癖があります。三姉妹は男運が悪く、家族の記念日を重視する共通点を持ち、日常のささいな出来事が大騒動に発展します。例えば、初期エピソードでは引っ越しや火事の騒ぎ、クリスマスパーティーの失敗などが描かれます。猫のエピソードも頻出で、レイ子が拾ってきた猫のサチコが誘拐されたり、首輪を付けようとして失敗したりと、コミカルな出来事が続きます。第1シーズンでは深夜枠らしく自由奔放なストーリーが多く、ニューヨークや福島へのスペシャル旅行編もあります。ゴールデンタイムに移行した第2シーズンでは、渋谷区設定でより洗練されたエピソードが増え、結婚式のスピーチやテレビのトラブルなどが登場します。スペシャル版では、殺人事件を解決するミステリー風の「やっぱり猫が好き殺人事件」や、生放送風の年越し番組「年またぎスペシャル やっぱり逸見と猫が好き」が挿入され、ゲスト出演者が加わって賑やかになります。後年の新作では、ビッグトゥディ編でオールロケのマッサージ店騒動や、2007年の時代劇風エピソードがあり、三姉妹の関係性がさらに深まります。全体を通じて、アドリブによるハプニングが笑いを誘い、姉妹の絆が温かく描かれています。各話は基本的に1話完結ですが、姉妹の過去や関係性が徐々に明かされ、シリーズ全体で一貫した世界観を築いています。このあらすじは、三姉妹の日常がもたらすユーモアを基調とし、視聴者をほのぼのとした気分にさせてくれます。
解説
「やっぱり猫が好き」は、1980年代後半から1990年代初頭にかけての日本テレビドラマ史において、画期的なシチュエーション・コメディとして位置づけられます。深夜枠でスタートした本作は、視聴率の高さからゴールデンタイムへ昇格し、長きにわたり愛され続けました。その人気の理由は、まず三姉妹のキャラクター設定にあります。もたいまさこ演じるかや乃のミステリアスな魅力、室井滋のレイ子の奔放さ、小林聡美のきみえの現実味あるサバサバ感が絶妙に絡み合い、視聴者に親近感を与えます。脚本の多くを三谷幸喜が手がけ、木皿泉らの貢献も大きく、台本を超えたアドリブが作品の独自性を生み出しています。収録は一発勝負が基本で、失敗やスタッフの笑い声が入ることで、ライブ感あふれるシットコム要素が強調されます。これは、当時のドラマ制作では珍しく、視聴者を巻き込む魅力となっています。また、猫をモチーフとしたエピソードが散見され、タイトル通り猫好きの心を掴みましたが、実際は人間ドラマが中心で、猫はコミカルなアクセントとして機能します。放送期間中、スペシャル版や新作が次々と制作された点も特筆すべきです。例えば、「やっぱり猫が好き殺人事件」は三谷幸喜の倒叙ミステリーの原型となり、後年の「古畑任三郎」につながる要素が見られます。年越しスペシャルでは生放送を模した演出で、逸見政孝や矢野顕子らのゲストが華を添え、バラエティ番組との融合を実現しました。後年のシリーズ、例えば2001年の新作や2007年の時代劇版では、三姉妹の加齢を活かしたストーリーが展開され、ファンサービスとして機能しています。DVD-BOXのリリースは、ファンの強い要望に応えたもので、放送順再編成や特典新作の収録が評価されています。この作品の体裁は、マンション一室限定のシンプルさが逆に想像力を刺激し、モノマネや音楽エピソードの挿入で多様性を保っています。構成面では、クールごとのセット変更をストーリーに組み込む工夫が見られ、引っ越しや泥棒話が自然に挿入されます。全体として、本作はユーモアと温かさを兼ね備え、日常のささいな喜びを描くことで、幅広い世代に支持されました。現代においても、ストレス社会の癒しとして再評価されており、DVD-BOXはそんな魅力を凝縮した一品です。解説を締めくくるに、このドラマは単なるコメディではなく、姉妹の絆を通じた人間賛歌と言えるでしょう。



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